日本で働くって、どういうこと? ~その3〈気づきのプログラム〉

カテゴリー 受講プログラム
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<きめ細やかな心のケア>元気を取り戻すためになにが必要だったか。

前章までのところでは、再受講されたEさんのどこに問題があり理由は何だったのかをお伝えしてきました。本章では、理由がわかってもなお元気を取り戻せなかったEさんがその後どのように笑顔を回復していったのか、詳しくお話しましょう。

研究所で学ぶことは日本語だけではありません。研究所では住宅サービスをはじめ生活全般に関してもきめ細やかにサポートしています。けがや病気をしたときには病院まで付き添ったり、時には一緒にランチを食べながら雑談をしたりもします。その中で生活やお悩みにも寄り添っています。今回のEさんの場合は、担当のキャストが毎日授業後に、Eさんの気がすむまで話を聞きました。ある日、授業後に自習室へ向かう途中、歩きながらお話したなかで、「ここ(研究所)へ来ると、心が静かになります」と言ってくださいました。そしてポロっと「いつも元気、は難しいです」とも。なんとも重く、心に響きました。そして海プロに必要な力とは何なのか改めて考えるきっかけをくださいました。

その後も毎日、ひとつずつ心の中にある不安や焦りやいろんなことを、ひとつまたひとつと落としていきました。担当キャストと話すだけでなく、同じ職場で仲良くなった友人ともメールや電話などで悩みを打ち明け合ったそうです。相手の話も聞き、お互いに相談し合ううちに、こんな自分でも頼りにされる存在なのだと、辛い経験をした分だけやさしくなれるという自分に気づくことができたようです。そうしてだんだんと心を軽くしていき、無理な作り笑いではなく自然な笑顔のEさんを取り戻すことができました。

このように立ち直ることができたのはEさんの本来の力であり、わたしたちは居場所を提供したにすぎません。日本語力や会社で働くための知識を得ることももちろん必要ですが、海プロに、研究所に本当に必要な力とは、受講者を温かく見守ること。つまりお一人お一人が持っている力に「自らが気づき、自らを変えていける力を引き出すこと」だと思います。これからも受講者お一人お一人に寄り添い、温かく居心地の良い場所であり続けたいと思います。

元気になったEさんは2回目の海プロを修了される頃には、ひと皮もふた皮もむけて強くたくましく成長されました。今では新しい就職先で元気いっぱいの笑顔で働いているとのことです。

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