<問題の顕在化>何をどのタイミングで聞けばいいのかわからない。
前章では、就職して半年後に契約解除の宣告を受け、意気消沈し、再び海プロへやってくることになったEさんの様子をお伝えしました。本章ではそんなEさんにいったい何があったのか、詳しく見ていくことにしましょう。
1回目の海プロ受講では明るく元気だったEさんですが、2度目に再会したときは、自信をすっかり無くしたご様子で、見るからに落ち込んでいらっしゃいました。
元気のないEさんに授業後に声をおかけして聞いてみたところ、職場でうまくコミュニケーションがとれなかったようです。外国人に限らず新入社員がよくするミスのひとつに、わからないことをすぐに確認せず、自分の判断で進めてしまうということがあります。もちろんことばの壁も少なからずあったでしょう。しかし仕事の基本中の基本「確認する」ということに関しては日本も外国もありません。Eさんの場合、新卒で何もかも初めてということもあり、「日本で」働くということよりも、「働くこと」そのものがよくわかっていなかったのです。理由がわかればあとは簡単なはずなのですが、失敗してきつく叱られた失敗体験が尾を引き、なかなか元の明るいEさんの笑顔が見られないでいました。
次章ではそんなEさんがどう元気を取り戻したのか、詳しくお伝えしていきます。